GCPEA News

紛争時の教育を守るための新しい国際ガイドライン これまでの欺瞞に取り組む

Global Coalition to Protect Education from Attack, December 16, 2014

英語オリジナル: https://www.protectingeducation.org/news/new-international-guidelines-address-insidious-gap-protecting-education-during-war

(ジュネーブ、2014年12月16日)— 各国政府軍および非政府系武装組織は、本日国連(ジュネーブ)で公開された「学校の軍事目的使用に関するガイドライン」に従い、教育機関の軍事利用を自粛すべきだ、と教育を攻撃から守る世界連合(以下GCPEA)は述べた。本ガイドラインは2014年3月に国連安全保障理事会が採択した決議を受けて発表された。同決議は、関連する国際法に抵触する軍隊や武装組織の学校の軍事利用を阻止する行動を、各国政府に呼びかけるもの。



GCPEAのティヤ・ニジョーネ代表は、「本ガイドラインは紛争の際に学校が戦場の前線の一部と化すことを阻止する、実用的なツールとなる」と指摘する。「ガイドラインは、 学校施設を学びの場として残すために、指揮官や軍隊が責任を持って実施できる行動を提言したもの。これは、生徒に対する武力紛争の破壊的な悪影響を最小限に食い止める助けとなるだろう。」

各国政府および軍隊、国連機関、市民社会が広く協力して、学校や大学を軍事利用しないですむための手引きを2年以上にわたり策定してきた、その集大成がこのガイドライン。これが本日、ノルウェーおよびアルゼンチン国連代表部主催のイベントで発表された。また、ガイドライン支持を表明する式典が2015年中盤にノルウェーで開催される予定であることや、そこで学校の安全宣言を採択する準備をすすめることも併せて発表されている。

学校や大学は通常街の中心部に位置し、校舎も頑丈で、洗面所や調理場といった諸施設が整っていることから、戦闘部隊にとって魅力的な存在だ。そのため、この10年間に少なくとも25カ国で、基地や射撃拠点、武器庫、拘禁施設など様々な目的で軍事利用されてきた。

軍事利用は、学校や大学の国際法上の民用物としての地位を損ないうる。学びの場を合法な軍事目的に変えてしまい、生徒や学校職員を敵対勢力の直接攻撃上にさらす可能性がある。攻撃の危険に加えて、何週間、ときには何年間も学校に戦闘員が駐留すれば、教育そのものを弱体化してしまうことにもなる。教育・学習活動を妨げ、子どもたちを徴兵や暴力の機会にさらし、生徒の欠席や退学増加にも繋がる。特に女生徒への影響が大きい。なぜなら家族は通常、娘を武装した男たちのいる教室に送りたがらないものだからだ。

前出のニジョーネ代表は、「戦場となったコミュニティは、しばしば究極の選択をせまられる。兵士と学校を共有して生徒や教師を危険な目に合わせるか、または授業を一切やめて子どもの教育機会を奪うか、という選択を」と指摘する。「教育機会を妨げてその質を下げ、生徒を暴力と攻撃の可能性にさらす学校や大学の軍事利用は、人権の侵害に該当しうる。」

2014年6月にノルウェー政府が、本ガイドラインの支援国として、各国の支持取付けに率先して動くと発表。本日のイベントに先立ち、29カ国が公式に支持を表明している。ジュネーブにおける会合では、関連国政府の声明に加え、GCPEAのメンバーである複数の市民社会団体も、ガイドラインをいかに自国の軍事施策や方針、訓練に導入する予定であるかについて、来年ノルウェーで予定されている式典で公式に約束してほしいと各国政府に要請した。

なお、本ガイドラインの導入を求められているのは各国政府だけではない。本ガイドラインは14カ国35の非政府系武装組織にも、11月に開催されたある会合で提案された。その会合はジュネーブ・コールという団体が主催したもので、同団体は、合意協定(Deed of Commitment)の調印を含む国際人道規範の尊重を非政府系武装組織に働きかけている。同協定に調印した諸組織の宣言には、非政府系武装組織がこのガイドラインを考慮したこと、そしてこのガイドラインが各国政府のみならず非政府組織をステークホルダーと認めていることへの謝意が含まれている。

前出のニジョーネ代表は、「ガイドラインの公開と2015年中盤に支持表明式典を行うと発表したことは、武力紛争時などの学校の安全の改善を目指す道程の中の重要な出来事だ」と述べる。「次の6カ月間に各国政府と非政府系武装勢力は、兵士を学校から締め出し、学校を戦場化させないという 本ガイドラインへの支持を決定するとともに、これを導入するための準備にとりかかるべきだ。」

ビデオ

  • 「学校に軍隊はいらない」(日本語、英語、アラビア語、ドイツ語、英語、フランス語、オランダ語、ノルウェー語、スペイン語):  https://protectingeducation.org/emus-video

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